占星学

MCとイカロス

こんにちは!
何かあるごとに、MCについて考えることがあります。
MCは「ミッドヘブン」、すなわち天界で一番高いところ。
チャートだと、生まれたときに太陽が真南(一番高いところ)に位置するところです。

MCは一般的に「外に向ける顔」ですが、社会性を帯びたアングルですので、
「天職、天命」ということを指し示すことも。
「人生の目標」という解釈もし、公的なステータスも示しています。
プラシーダスだと10室のスタートラインとなるので、山羊座的な意味をかなり持っていますね。

MCのことを考えるとき、イカロスの神話を思い出すことがあります。
ロウでできた翼で空を飛ぶイカロスは、太陽にもっと近づこうと思って高く高く舞い上がっていくと、
ロウでできた翼は太陽の熱で溶けてしまい、地上へと真っ逆さまに落下していく。
このイカロスです。

なぜイカロスとMCがリンクするのかというと、
MCはチャートの中で一番太陽が高いところだから、、、というわけです。
目標、別名「野心」に向かうと、「もっともっと」という欲求を抱く場合があります。
「もっと有名になりたい」
「もっと注目されたい」
「もっと尊敬されたい」
これらは、何となく山羊座の「内なる野心」(つまり、トップを常に狙っている)が蠢き始めたときに似ています。
MCの「野心」が暴走し始めると、公的なシーンでの要求が高まります。

山羊座のヤギは、山にいるヤギ。
牧場でメェメェいっているのとは別物です。
山のヤギは、上を目指して着実に山を登っていきます。
このヤギですね。塩を舐めながら壁を登るやつです。

つまり、山羊座は「どんなに過酷な状況でも登り続ける意志がある」わけです。
双子座みたいに「疲れたからやーめた!」なんて言わないし、
魚座みたいに「これが私の贖罪となるなら。。。」なんてことも考えません。
文句も言わず目標に向かう。山羊座の凄いところです。

でも、これが貪欲さを増していくと、
「もっともっと」感が出てきます。
ただし、「もっと太陽(ゴール、神の領域)に近づきたい」と願えば、
ロウでできた翼は一気に溶けてしまう。

太陽はゴールであり、MCは目標であり、人生の道。
MCは決してゴールではないのです。
(私はMCで実った実は、ICに還元されると考えています。この話はまたの機会に)
MCでは決して太陽になはれない。

他の視点から考えると、ロウでできた翼、というのも
実質的な自分の力とは言い難いですね。まやかしのアイテム感が強いです。
これが、もしイカロスに本当に翼が生えていたなら。
ただし、自分自身の翼を育て、作り上げていくには努力が不可欠です。
山羊座的なアングル、と思えば、これは必須なものなのでしょう。

イカロスの父ダイダロスが、翼を授けるときにおもしろいことを言っています。
「ロウが湿気でバラバラにならないよう、海面に近付きすぎてはいけない。ロウが熱で溶けてもしまうので、太陽にも近付いてはいけない」
これは「目標とは高すぎることも低すぎることもなく」とも読めてきます。
ただ、人間は成長をしていく生き物なので、
目標をひとつクリアすれば、階段状に目標は一段ずつ上がってきます。
その時々の「自分の発揮できる力」に応じた目標を掲げること。
それが、イカロスとならずに、より高みへと向かうためのワンステップなのかもしれません。
ヤギも休み休み、塩を舐めて一歩ずつ山を登ります。