アストロロジーは古代バビロニアなどでの繁栄ののち、しばらくは影を潜めるようになります。
その後、ウィリアム・リリー、アラン・レオ、カール・ユングなどにより、現代社会へと復活を遂げていくこととなりますが、古代の世界では、「個人の意志」を中心にするモダンな見解とは異なり、「予言」的なものをアストロロジーを通じて読み解いていました。

その解釈方法は「伝統的アストロロジー」などと呼ばれ、現在においてもそれを研究しているひとも少なくありません。

心理占星学を学ぶにあたっても、伝統的な解釈を頭の片隅にでも入れておくのは有益なことです。
なぜ、古代のひとがそういう見方をしていたのか、ということを考えてチャートと向き合ってみると、伝統的な解釈が心理占星学においても、チャート読解の助けとなることがあります。

ただし、やはりここでも大切なことは、「なぜそうなのか」を自分で考えるということでしょう。
書かれていることを鵜呑みにしているだけだと、クックブック読解だけになってしまいますし、大切なことを読み落とすことにもなりかねません。

ここでは、伝統的解釈における「ディグニティ」を紹介したいと思います。「ディグニティ(dignity)」とは「品格」のことです。

表にある「ドミサイル(domicile)」は、支配している星座が入ります。ドミサイルは家や生家、本籍地という意味です。この星座であれば、その惑星らしい品格がそのまま出る、ということになります。
「デトリメント(detriment)」は被害、「フォール(fall)」は落ち込み、の意味です。惑星の品格が出にくいという解釈です。
「イグザルテーション(exaltation)」は高揚です。惑星がイキイキと品格を発揮する、ということです。

さて、この表を見てどう思うでしょうか?
太陽が天秤座、水瓶座に入っているひとは、眉をしかめると思います。自分の太陽がイキイキしてないなんて言われたら、たまったものじゃないでしょう。

この原理は、天秤座の「相手ありき」ポリシーと、水瓶座の「民主主義」精神が、太陽の「唯我独尊」気質と合わないと見なされて導かれているだけなのです。
太陽は太陽系でたったひとつのものなのであり、同等のものがあってはなりません。なので、デトリメントまたはフォールというわけです。

でも、実際に社会で生きていくとなると、周りのひとも「自分の宇宙」があり、「自分が主人公」のストーリーを生きているわけですので、天秤座や水瓶座的な考え方は相手を尊重できている、とも解釈できます。

反対に、獅子座であればドミサイル、牡羊座だとイグザルテーションになります。獅子座の「スポットライト」的な生き方と、牡羊座の「我先に」アティチュードが太陽の「唯我独尊」気質に合うと見なされているのです。
しかし、これが行きすぎると、燃える火の玉豪速球となり、「俺が俺が!」となってしまいます。

確かに「俺が俺が!」は太陽らしくもあるでしょうが、実際社会で生きるとなると、みんながそうだと各地に帝国ばかりができて大変になるでしょう。

こういう「良い面」「悪い面」をいずれのパターンにおいても考えていく癖を身につけると、チャート読解をするにあたって、いろいろな傾向を同時に考えながらクライアントさんと話ができていく、ということです。