心理占星学に携わっていくときに出てくる用語の説明を簡単にまとめました。チャートリーディングする上でも頭の片隅にでも入れておくと有益なものもありますので、ご参考にしてください。


アニマ・アニムス
男性・女性の中に存在する男性・女性の元型イメージ。相手する男性や女性に投影する場合が多いが、ときに自分とアニマ・アニムスが一体化することもあります。


シャドウ
自分の中の「暗い部分」で、自我の影となるもの(象徴的に太陽が自我と考えると、それからできる影の部分と想像しやすいかもしれません)。本能的で文明化されていない動物的な側面であり、ひとはこの部分を隠そうとする傾向にあり、他人(主に同性)に投影されることもあります。ジキル博士とハイド氏が自我と影を描いた作品として有名です。


ペルソナ
ゲームでも有名な「ペルソナ」ですが、自我が被る仮面のことです。外界に対して、ペルソナを身にまとうことで自我との仲介役を果たします。社会的な関わりを持つためにペルソナを使い分けますが、無理を強いると心に負担が生じる一因となります。ペルソナと自分が完全に同一化してしまうと、それを演じるだけしかできなくなってきます。


コンプレックス
日本語だと劣等感と意味が取られることがありますが、コンプレックスとは様々な感情の複合体のことです。コンプレックスを感じるものに対して、無意識に冷たい行動に出たり、過剰な反応を示したりします。例えば、お化粧コンプレックスというひとがいたとすると、メイクアップをして着飾るようなことに対して「ああ、いやだ、ケバケバしい!絶対おかしいわよ!」とか「ふーん、それがどうかしたの?」という反応を異様なほどに出す感じになると思います。


投影
プロジェクションとも言います。自分の抱いている何らかのイメージを相手に投影することです。例えばディセンダント上の星座や惑星などは、他人に投影しやすいイメージです(自分から一番遠いところにあるので)。シナストリーをすると投影しやすい部分が見えてくることが多いと思います。


転移
投影がクライアントから分析家(占星家)に行われること。過去の体験(親や別れたパートナーなど)のやり直しが行われます。例として、母親とのトラブルを抱えていたクライアントが、女性の分析家(占星家)に母親像を投影して同じようなことが再演される、ということがあります。これが分析家(占星家)からクライアントへ行われるのが逆転移です。


抑圧
自我を脅かすような受け入れ難い思考、感情、または願望を意識上に持ってこないようにする防衛本能のこと。フロイトが提唱し、以後はいろいろな使い方がされていますが、ベーシックな意味としては「意識上に持ってこないように押さえつけておく」ことではないかとわたしは考えています。


集合的無意識
個人の経験を超えた無意識の中にある先天的な構造領域。占星学だと天王星・海王星・冥王星がこの分類に入る惑星になります。無意識のうちに自分以外の存在と共通して持っているような部分、というところでしょうか。個人としての興味や好き/嫌い、社会構造における在り方を超えた部分にあるもの、というものです。

参考文献:

  • マギー・ハイド著 小林司訳 『マンガ ユング心理学入門―心のタイプ論、夢分析から宗教、錬金術まで』 (2010)講談社ブルーバックス
  • Andrew M.Colman 『Dictionary of Psychology』OXFORD UNIVERSITY PRESS