各地に伝わる神話や伝説は、元型のイメージを捉えていくのにも役に立ちます。想像力が豊かなひとの場合は、アスペクトを見たりしたときに、「あの話を思い出す」ということもあるでしょう。海外のものだけでなく、日本人であるわたしたちには日本の民話なども心に響くのだと、ユング研究をしていた故・河合隼雄先生もおっしゃっています。
話を聞いて思うことは、個人によって違います。視点が違うからかもしれませんし、生きてきたバックグラウンドなどでも変わってくると思います。そのような個性を大切にし、神話や伝説を読み解いていくことが心理占星学を学ぶ上で「考えるきっかけ」を与えてくれるのだとも思っています。
なお、このような神話や伝説といった話をクライアントに伝えるのも「考えるきっかけ」を与えるものになると言われています。
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- アポロンは大蛇ピュトンを矢で倒した帰り、小さな矢を持っているエロスをバカにします。怒ったエロスはアポロンに恋をする黄金の矢を打ち、ダプネーという娘には愛を拒絶する鉛の矢を打ちます。アポロンはダプネーに一目惚れしますが、ダプネーは決してアポロンの愛を受け入れようとはしません。
アポロンに追いかけられ力尽きたダプネーは、父である河神のペーネイオスに助けを求めると、ペーネイオスはダプネーを月桂樹に変えてしまいます。アポロンは愛の証として、月桂樹から冠を作り、常に身に付けるようになりました。 - 水のニンフ(妖精)であるクリュティエはアポロンの恋人でした。しかし恋多き神アポロンは人間レウコトエに恋をし、クリュティエを放っておくようになります。人間に負けるなんて許すまじきと思ったクリュティエ、レウコトエの父にアポロンとレウコトエの恋を密告します。しかも、レウコトエがまるでアポロンをたぶらかしたかのように。
レウコトエの父は激怒し、レウコトエを生き埋めにします。アポロンは必死にレウコトエを救おうとしますが、時はすでに遅く、彼女は息絶えました。これでアポロンが自分の元に帰ってくる、、、と思ったクリュティエですが、クリュティエの思惑とは反し、アポロンはクリュティエの元を去ります。
クリュティエは裸のまま、飲み食いもせずに、石の上に立ち、太陽(すなわちアポロン)をただじっと見つめ、彼との別離をただ嘆き悲しみました。 9日経った時、クリュティエはひまわりになり、それからずっと常に太陽(アポロン)のいる方を見つめるようになりました。
- アルテミスはアポロン以外の男性とはあまり仲良くしませんが、オリオンと出会うと共通の趣味である狩猟の話題で盛り上がり、仲良くなっていきます。それを知ったアポロンは嫉妬したのか不穏に思ったのか、オリオンがいる先を指し、アルテミスに向かって「お前はあの的を射れるか?無理だろうな」と挑発します。怒ったアルテミスは「もちろんできるわよ!」と言わんばかりにアポロンの指す「的」に矢を命中させますが、その「的」はオリオンであったため、オリオンは命を落としてしまいます。
失意のアルテミスは、ゼウスにオリオンを生き返らせて欲しいと懇願しますが、ゼウスはオリオンを生き返らせる代わりに、オリオン座として星座にし空に昇らせました。 - 月の女神セレネは人間のエンディミオンに恋をします。彼が眠っている間にこっそりキスをし、ゼウスに彼の不死と永遠の若さを与えるように願いますが、ゼウスはエンディミオンが永遠の眠りにつくのを条件として、セレネの願いを聞き入れます。
セレネは毎夜彼が眠りについているのを見に来て、じっと優しく見つめるようになるのでした。 - 月の女神ヘカテーは、冥界の女神でもありました。潔めと贖罪を掌り、魔法や魔術を使う女王でもあったのです。
- ヘルメスは生まれるとすぐにアポロンの牛を盗むことに成功します。牛がいなくなったアポロンは不思議に思い、予言能力によりヘルメスの仕業だと気付きますが、ヘルメスは「生まれたばかりの僕にそんなことできるわけないっしょー」としらを切り続ける始末。アポロンがゼウスの前に連れて行っても、「嘘のつき方も知らないしぃー」とこれまた嘘を繰り返すヘルメスでしたが、ゼウスはヘルメスに盗みと嘘の才があるのだと気づきます。
ゼウスはヘルメスに牛を返すよう説得し、ヘルメスはしぶしぶ牛を返しますが、アポロンに自分の作った竪琴をやろうと言うと、アポロンは喜んで牛をヘルメスにすべてあげてしまうのでした。ついでに笛もあげようとヘルメスが言うと、アポロンはお返しに杖をヘルメスに渡します。ここからふたりの親友の歴史が始まるのです。
ヘルメスの「ちゃっかりぶり」は、アレスの身にも及ぶこととなります。アレスはヘラとゼウスの子ですが、ヘルメスはアレスにすり変わって、ヘラから授乳してもらいました。そのためヘラはヘルメスに情が移り、ひいきにしているそうです。アレスとアフロディーテとの浮気現場を目撃したヘルメス、アポロンに向かって「いやぁ僕もあんな男だったらねー!」と、アレスをバカにしていそうな発言もしています。
- ウラノスから切り取られたものが海に投げ入れられ、泡が発生し、愛と美の女神アフロディーテが誕生しましたが、切り取られたものから滴る血は大地に染み込み、エリニーズという復讐の女神が生まれました。
- アフロディーテの怒りに触れた一家の娘がミルラとなり、そこから生まれた人間がアドニスでした。アフロディーテはアドニスに恋をし、アドニスもアフロディーテを愛しますが、それを知ったアレスは怒りに狂い、猪に化け、アドニスを殺してしまいます。死んだアドニスをいつまでも冥界に置いておくのはかわいそうだとアフロディーテはゼウスに懇願し、アドニスはアネモネとなりました。
アフロディーテがアドニスの死を目にして、我構わず泣きじゃくった紅の涙が、白いバラを赤く染めた、もしくは、失意のアフロディーテがさまよい歩いて足から血を出し、その血が白いバラを赤く染めたとも言われています。 - プシュケという人間の娘はたいそう美しいことで有名でした。「アフロディーテよりも美しい!」なんてことを言われますが、それを聞いたアフロディーテは激怒します。子供のエロスにモンスターに恋をする矢を打ってこいと言いつけますが、エロスはプシュケに会った瞬間間違って自分を恋の矢で傷つけてしまい、プシュケに恋をしてしまいます。神と人間のラブロマンスは認められないため、エロスは自分が神であることを隠し、いつも暗くなってからプシュケの元を訪れ、「顔は見ちゃいけないよ」とプシュケにいつも頼み続けます。しかし、その話を不信に思ったプシュケの姉たちは「顔を見てみなさい!」とプシュケに言います。エロスが寝たあと、恐る恐る顔に灯を近づけてみると、そこにいたのは神エロスであると気づき、それにエロスも気づき逃げていきます。エロスの言うことを聞かずに裏切り、顔を見てしまったプシュケは悲しみに打ちひしがれますが、意を決してエロスを取り戻そうとアフロディーテに懇願しに行くことを決意します。
アフロディーテはプシュケに無理難題を押し付けますが、いろいろと助けがあって問題をクリアして帰ってくるプシュケにアフロディーテはイライラが募り、最終的には「冥界に行って美の薬を取ってきなさい!」と冥界下りを命じます。プシュケは周囲の助けを借りて、冥界の女王ペルセポネから薬を譲り受けますが、そこで自分の美しさも衰えてしまったのではと不安になったプシュケは、絶対に開けてはダメと言われていた薬の小箱を開けてしまいます。そこに入っていたのは、冥界の眠りでした。プシュケは永遠の眠りに落ちてしまったのです。それを知ったエロスはゼウスの元に出向き、プシュケを助けてくれるように懇願します。ゼウスは神々の酒であるネクタールをプシュケに飲ませるとプシュケは命を吹き返し、背中には蝶の羽が生えてきました。これでもう神々の仲間入りをしたプシュケは、エロスと無事に結婚することとなるのです。
- アレスは父ゼウスからもあまり好かれておらず、面と向かって「オリンポスの中で最も嫌いなのはアレスだ。お前には戦い以外何の興味もないじゃないか。ヘラ(母)の嫌な部分ばかりを受け継いでいる」と言われます。実際、アレスのことを好きな神なんてほぼいませんでした。
- アレスとアテナは度々対立し、両陣営に分かれて戦いを繰り返します。アテナを見ただけでアレスはムカムカとし、怒りが収まらなくなるのです。アテナに向かい「おい、小蝿野郎! どうしてお前を見るとこんなに戦いたくなるんだ! どうしたらお前を本気にさせることができるんだ! 今日こそお前をぶっ倒す!」と言い放ち、盾を投げつけますが、アテナは石を拾い、アレスにひょいと投げつけます。石が命中したアレスはその場にドーンと倒れ込みます。倒れたアレスを見てアテナは微笑み、「どうしてそんなにバカなの? わたしの方が強いって知っているでしょ」と言い放ちました。
- 最高神ゼウスは神々の持つ属性を一身に集めた神となりました。あらゆるものを見、あらゆるものを知っているのです。賢明な君主であったゼウスは彼自身の意志が含まれた「運命」に従い行動し、親切で寛容、同情心も厚く、悪者にでさえ施しを与えることができました。
- ガイア(大地の女神)は夫であるウラノス(天空の神)に辟易し、
彼らの子供であるクロノス(時の神)に、ウラノスを神々の世界から追放したいと相談をします。
クロノスは鎌で、寝ているウラノスを去勢し、神々の世界から追放することに成功しますが 追われるウラノスは「お前もいずれ同じ目に遭う」とクロノスに向かい言い放ちました。 クロノスはウラノスに代わり、神々の王となりますが、クロノスに言われた言葉が頭から離れず、生まれてきた子供たちを次々を飲み込んでいきました。
- 予言能力を持つプロメテウスはずる賢さを持ち、ティターン族とゼウスたちの戦いでは中立をとっていますが、ゼウスたちの方が優勢となるとゼウス勢に加担します。しかし、ゼウスたちを裏切り、人間の味方をすることで天界から追放されてしまいます。有名なのは人間に火を与えたことです。そのおかげで人間は文明を発展させることができましたが、同時に争いも生むこととなったのですから。
- ポセイドンは海を支配する神ですが、アテナの持っている土地が羨ましくてアテナに何度も戦いを挑みます。賢いアテナに勝てるわけもなく、アテナの土地を奪うことはできませんでした。
- ゼウスと人間の娘の間に生まれたデュオニュソスは、ヘラに嫌悪され命を狙われることとなり、ゼウスは彼を遠く離れた地にやり、大きくなるまで女の子として育てるように頼みます。デュオニュソスは大きくなるとぶどう酒の作り方を発見し、それを広めるために世界を旅にしに行きます。各地で人間を助けたりしているうちに彼への信仰が広まり、冥界下りをして死んだ母親を連れ戻すと、神々の仲間として受け入れられることとなりました。ヘラとも後に和解しています。
- デーメーテルとペルセポネーが野原にいるとき、ペルセポネーが花を摘もうとすると突然大地が裂け、ハデスが黒い馬に乗って登場し、ペルセポネーを誘拐しました。デーメーテルは可愛い娘が誘拐されたことで失意のどん底に落ち、引きこもって出てきません。豊饒の女神であるデーメーテルが出てこないと作物は採れず、人間たちは死に絶えていき、ゼウスは「こりゃダメだ」とハデスの元に出向きます。ハデスにペルセポネーを地上に返すように言いますが、ときすでに遅し。あの世でザクロを3粒(3個とも)食べてしまっていた彼女は、地上に常にいることはできなくなっていたのです。そのため一年のうち3ヶ月は冥界、他は地上に帰るようにとゼウスが二人の仲介をし、同意を得ます。そのためペルセポネーが地上にいない3ヶ月は冬となり、帰ってくる頃の春にはデーメーテルが嬉しさのあまりに花が咲き乱れるようになりました。
- カイロンは半人半馬の姿(ケンタウロス)をしており、その姿を忌み嫌った両親(クロノスとニンフ)に生まれた直後捨てられました。他のケンタウロスが人生を謳歌(自分勝手な感じだけど)していても、カイロンはそんな風にはならず、ひとり洞窟に篭りひっそり生きる日々。
そこに救いの手を差し伸べたのはアポロンとアルテミスです。カイロンの能力の高さに感心したアポロンとアルテミスは、医療、音楽、予言」と「狩猟」を教え、カイロンは「教師」として道を歩み始めます。
カイロンは生徒たちから慕われ、その生徒の中にはヘラクレス、アキレウス、アスクレピオスなどの名だたるヒーローたちがいました。とあるとき、他のケンタウロスたちが暴動を起こし、それを制圧しようとヘラクレスが乗り込みます。その戦いを制止するためにカイロンが間に入ったとき、愛弟子ヘラクレスの放った矢に打たれ、カイロンは瀕死の重傷を負います。カイロンには神の血が流れているため、どんなに苦しくても死ぬことができないのです。
でもカイロンは神々の神であるゼウスに「死なせてほしい」と懇願します。その願いは受け入れられ、カイロンはその功績を讃えられ、星座(射手座)として空に昇りました。
- フローラ(ローマ神話)
- 春と花の女神フローラが歩くと、彼女の足元には花が咲き乱れた。(2-8ハウス軸)